本サイトでもトリニダード・カーニバルの目玉となるパレードやコンテストについて
もっとも観光客が訪れる最終週のスケジュールを紹介していますが、
この期間では見れないものが一つだけあります。
それが「スティック・ファイティング Stick Fighting」です。
1700年代後半に、西アフリカ出身のアフリカ奴隷たちが持ち込んだ武術でかつての戦闘舞踊。
アフリカの文化を取り入れた映画「星の王子ニューヨークへ行く」や「ブラックパンサー」でも
棒を使って一対一で決闘をするような武術シーンが出てきますが、
あれがスティック・ファイティングです。
Gayelleと呼ばれるリングでふたりのスティックファイター(棒術師)が、
アフリカンドラムのリズムに乗せた歌とコール&レスポンスとともに
踊るように棒で撃ち合いをする競技です。
アフリカの文化が禁止された1880年以降、
武術の一つとして1930年代に再度スティック・ファイティングが競技として始まりました。
血が吹き飛ぶこともある激しい競技で失明したファイターもいるほど。
ドラムや歌声からBois(フランス語で棒)に勇士のスピリットが乗り移る言われ
その場にいるだけで熱狂の渦に包まれます。
↓こちらはスティック・ファイティングのドキュメンタリー映画のトレイラー。
今あるトリニダード・カーニバルの原型はというと、
フランス人たちによってカーニバルという文化が持ち込まれ、
彼らの奴隷であったアフリカ人たちが自分たち流に作り上げた祝祭。
これらのアフリカ系伝統のイベントに参加すると
よりトリニダードのカーニバルのスピリットを感じます。
いつも年明けから各地の予選を経て、早めに決勝戦が終わってしまうこと、
またスティック・ファイティングが盛んな南部で決勝戦が開かれることも多いために、
残念ながらほとんどの観光客がスティック・ファイティングを見る機会がありません。
しかし、スティック・ファイティングが必ず見られるのはカーニバルシーズンのみ。
今年は、予定通りであれば、2月15日(水)に決勝戦が開催予定です。
もし既にトリニダードに来られているという方は、ぜひ足を運んでもらいたいイベントの一つです。
※写真はTrinidad Guardianより
https://www.guardian.co.tt/article/legends-of-stickfighting-6.2.1046285.87214b8b45